サラリーマンについて その4


じゃあ、なんで急にサラリーマンがカッコ悪くなくなってきたのだろう。今までは、ここ数十年で、麻野が肌で感じてきた感想だったが、ここからは頭使って書きます。

結局、サラリーマンが金を使えるようになって、使い出したのが大きいんじゃないかと思う。……まとめていおうとすると、かえって回りくどい言い方になるな。

えーと。一昔前のサラリーマンは、金がないか、あっても使い道がそれほどなかった。それが、金が余りだし、また、使い道もできてきた。もちろん、昔も金持ちの部長さんとかはいたと思うんだけど、絶対数が少ないから、金を使う世界が閉じてたんだと思う。それが、一挙に、大量のサラリーマン(特に若いサラリーマン、OL)が、そこそこの金を所持して、それを消費に使い始めた。

そう。結局は、好景気、バブルがサラリーマンの地位を上げたんだと思う。

それまでは、就職すると、仕事覚えるまでは、安月給でひいひいいって、やっと落ち着いた25歳くらいで、もう結婚。今度は子育てと家のローンで金がキチキチだったのが、結婚がおそくなり、してもDINKS。子供はいない。ちょうどバブルが近づいてきて、ボーナスもいっぱいなんだけど、家はかえって高くなりすぎて買えないから、車か、他のものに消費するしかない。

結果、日本中が、消費大国になったわけですが、そのとき、もっとも金があってつかえたのは、(若い)サラリーマン、OL。それまでカッコよいとされていた学生は、金に限界があった。バイト代も少しはよくなってたかもしれないが、サラリーマンのボーナスのすごさに比べると、微々たるもんだろう。

バブル当時、一番金持ちだったのは、会社法人だ。大企業は金にものをいわせて(というか、税金払うぐらいならと思って)、CIをやりまくっていた。企業イメージをよくするため、社屋をカッコよくした。ロゴを作り直した。

会社の景気は、波及する。景気がいいので人手不足だ。就職活動の学生をえらく優遇してくれる。新入社員は金のタマゴだ。

麻野の就職した年度は、まだバブル前夜だったから若干控えめだったが、それでも、入社式は東京湾に船を浮かべて船上パーティーとかやってた。ましてや、その1年後2年後はすごかった。学生に内定を言い渡したら、その後は、飲ますわ食わすわ旅行には行かすわ、とにかく他の会社に行かさないために、あの手この手で学生を囲い込もうとしてた。

その頃、テレビで、「内定学生、温泉研修」などという番組がよくあった。内定させた学生を逃がしたくないので、温泉に連れて行って閉じ込めるのだ。研修とは名ばかりで、遊んでるだけだけど、そんな贅沢三昧が当たり前のような時代だった。

新人の給料もすごかった。麻野は少なかったけど、証券会社とか。初年度の夏のボーナスが「うん百万円」でたとかという話が、あちこちであった。「オレの弟、証券会社はいったら、いきなり500万円のボーナスやった。こんなこと続くわけないから、ランクル買って、後は貯金した」という話が、ものすごーく「堅実」な人の話として伝わってきた時代だった。

今、思った。まさに今思ったけど、「そりゃ、ディスコもスーツしか入場させんわ!」

ああいうのって、お得意さまを差別する業界でしょう。VIPルームとか。金もってるのはサラリーマンなんだから、そのサラリーマンを優遇するには、「スーツ着て、ネクタイしてる人しかはいれない」というのが、一番わかりやすいわなあ。

学生、金ないモン。その、金のない学生は、スーツ着てない。着てるのは金持ち学生だからいれてもいい。着てるけど金なさそうなおっさんは、「カッコ悪い」ではじける。こりゃ、便利。ああ、20年近くたって、今、よくわかったよ。ああいう、お水連中は、ホントに嗅覚がするどいよ。

世の中の中心というのは、金のあるところ、使える層が、主役になっていく。資本主義社会ではそうだ。なので、バブルの頃は、サラリーマンと会社(法人)が輝きだしたのだろう。「サラリーマンは金持ってる」つまり、「サラリーマンをカッコ悪いとバカにしてたら儲からない」の図式ができた前後で、サラリーマン、そして会社というものがカッコ悪くなくなったに違いない。

ちなみに、今現在、公務員になりたがる学生、子供(!)が多いらしいが、バブルの頃は、公務員および、役所というのは、カッコよさの地位が低かった。バブル前の、ださい背広着てるサラリーマンのイメージがそのまま公務員だけに横滑りしていったからだ。

ちょうどその頃じゃないかなあ。サザンが、Yシャツに黒い袖あてをつけて歌ってたのは。あれは、ダサいのを逆手にとってギャグにしてたんだと思うが、あれは、間違いなく、町役場とか、市役所の公務員のイメージそのままだ。「指サック」を再発見して、笑いものにし始めたのも、この頃だ。

人間というのは残酷なものだ。サラリーマンがカッコ悪くなくなったら、馬鹿にする対象がなくなる。それはそれでつまらないので、「かっこわるいサラリーマン」のイメージは、スケープゴートのごとく、公務員がになわされたのだ。その頃は。
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by asano_kazuya | 2004-10-14 17:10 | 身辺雑記