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パンドラの箱

最近、ギリシャ神話を読み出した。そうすると、今まで断片的に知っていたことが、あちこちつながって、「へえー!」、「へえー!」と一人「トリビアの泉」状態に陥っている。興味ない人には、「ふーん」かもしれないが、麻野がおもしろいと思ったことをいくつか書いてみる。まずは、「パンドラの箱」。

パンドラの箱は、「開けたが最後、数々の災いが飛び出してきて、最後に希望だけが残った」というエピソードが有名だ。

麻野は、このパンドラというのは、箱の名前だと思っていた。「戦艦武蔵」といえば、武蔵という名前の戦艦だし、「養老の瀧」といえば、それ自体が滝の名前だ。そんな風に思っていた。しかし、違った。これは箱をあけた女の名前だったのだ。パンドラという女が箱をあけたのだ。

じゃあ、そもそも、その箱は誰のものというと、これはエピメテウスという巨人のものだった。エピメテウスといわれても、「ふーん。で、それ誰?」となるが、このエピメテウスはプロメテウスの弟だ。「ふーん。で、それ誰?」と、神話を読み始めると、この「ふーん、で、それ誰?」のキリがないが、このプロメテウスという人こそ、最初の人間を作った巨人なのだ。

ここで、「ええ!」と思う。確か最初の人間って、アダムだろう。アダムを作ったのって、神様だとは聞いてたけど、そんな名前だっけ? つーか、巨人って、神様?

しかし、それは違うのだ。そのアダムを作ったというのは聖書の話。聖書はユダヤ人が伝えたものだが、今している話はギリシャ人の神話なので、若干変わってくる。

最初から話をする。

まず、プロメテウスは、土をこねて神の姿に似させて、人間を作った。次に、「人間に、生きていくための能力を与えておけ」と弟のエピメテウスに命じて、自分は監督にまわった。この弟は、人間以外にも、他の動物に、「ひづめ」とか「牙」とか「翼」とか、生きていくための色んな能力を与えたのだが、もう人間には何も残っていなかった。それで、「兄貴、まいった。もうねえよ」とぐちったら、「じゃ、火でも使わすか」ということで、人間は火を使う能力を得たのだ。

ところが、これを見て、神様の親分ゼウスが怒った。「火を使わせるとは、与えすぎだ」と。で、罰を与えようと女を作って、プロメテウス兄弟に与えたのだ。

なんと、女は、罰だったのだ!

その最初の女の名前がパンドラ。聖書だとイブという名前だけど、ギリシャ神話だと、パンドラなのです。

で、罰として送り込まれた自分の立場を知ってか知らずか、あけちゃいかんといわれてる箱をエピメテウスの留守にあけてしまう。そして、最初に飛び出してきた災厄が、「痛風」なそうな。次「リューマチ」とか。イヤな話だよ、まったく。

ところで、「最後に希望が残った」という話を麻野は子供の時に初めて読んで、複雑な気持ちになった。「残ったということは、出てこなかったということじゃないの? 希望が出てこなかったということは、絶望じゃないか」と思ったわけです。そう思った人って、他にはいないんですかね。

ちなみに、プロメテウスが作った最初の人間の名前、聖書だとアダムだが、ギリシャ神話だと名前がない。これって男女差別だよね。
by asano_kazuya | 2005-02-22 16:29 |