『刑務所の中』

花輪和一の書いた獄中手記マンガ。ふつう、獄中記というと、政治犯・思想犯などが自分の思想の深化や変遷を語ったものや、あるいは私小説的に自分の内面を吐露したものが多いが、このマンガはそのどれでもない。たんたんと獄中の日常を描いているだけだ。気負いや目的といったものがほとんど感じられない。

しかし、花輪和一の超人的な才能だと思うが、描写が非常に細かい。壁になにがあって、どんなドアで、どんな服装で何を食べて……などという細部が、信じられないほど丁寧に描き込まれているのだ。獄中にいるあいだにこんなものは描けないだろうから、出獄してから描いたに違いない。これもまた、恐ろしいほどの記憶力だ。いや、描写力より、その記憶力の方がすごい。薄ぼんやりした麻野の頭では、ゼッタイに何も覚えていられない。

もっと色々いいたいしほめたいが、何万言ついやしても、足りない気がする。

とにかく素晴らしい! この本は本当に素晴らしい!
まだ読んでない人がいたら、是非、読むことをお勧めする。

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「ベストセラー本ゲーム化会議:失踪日記編」の脚注です。
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by asano_kazuya | 2005-06-13 19:29 | BGK