タコ部屋

子供の頃、おかんが近所のおばちゃんと話していて、「○○とこのだんなさん、やっと見つかったらしいよ。タコ部屋いってたらしい。玉江橋のとこで、車からおろされてんて」という会話を聞いた。玉江橋(たまえばし)というのは、阪神電鉄尼崎駅の近くの橋だ。タコ部屋というコトバの意味がわからず聞いたら、「連れ去られて、無理やり働かされるところ」という返事が返ってきた。「タコのおる部屋とちゃうで」という、いかにも関西人がいいそうな冗談を、そのときいわれたかどうかは定かではない。

そのだんなさんというのは、酔っ払ってフラフラしてたら、いつのまにか連れて行かれて、半年くらい働かされていたらしい。その間、行方不明になっていて、家族は大変だったそうな。本人は、帰されるとき、目隠しされて車で連れてこられて、目隠しをとったら、玉江橋にいたと。どこで働いていたかとか、誰がさらったとかは、さっぱりわからなかったらしい。

給料ももらえず、奴隷のようにこきつかわれ、なんの自由もない生活ということを聞かされて、世の中には恐ろしいことがあるもんんだと思った覚えがある。それが昭和40年代。

のちに麻野も成人して、タコ部屋というのは高度成長期のものであって、今はもうないのかと思っていたら、「なにわ金融道」というマンガで、現存することを知らされた。ただ、そこでは、さらわれたというより、借金で首が回らなくなった人間がなかば観念して行く所として描かれていた。それが昭和の終わりごろ。

で、また最近、2ちゃんねるで、タコ部屋にいったことのある人間の手記が話題になった。もちろん「2ちゃん」なので、ホントかウソかはわからんが、話に整合性があまりないというか、ヌケだらけのところが、逆にリアルに感じられた。

やはりまだ、現代の日本でも、タコ部屋はあるのだろうか?
そんな場所と縁のない人生を、ああ幸運だとかみしめて、毎日を大切に生きることにする。アーメン。

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「ベストセラー本ゲーム化会議:失踪日記編」の脚注です。
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by asano_kazuya | 2005-06-13 19:30 | BGK