改まった話

 昔に比べると、人前で話すのが、それほどには苦ではなくなっている。10代、20代の頃はすごく苦手で緊張したが、最近はそうでもない。年のせいでずぶとくなったか、無神経になったかと思っていたが、さっき、別の原因もあるかもと思いついた。それは留守電だ。

 留守電が普及し始めた当初、機械に声をふきこむことにすごく抵抗があった。それがイヤなので、そのまま切ることもあった。

 電話をかける相手というのは、たいていは知人だ。その人との会話のテンポや間を思い出しながら、掛け合いのつもりで電話すると、留守電は非情にも、そんな自分にいきなり小さな独演会を強いる。電話の前で固まる。勇気がいる。「えーと」とか「うーん」という、一拍もいる。留守電は、「改めて話す」ことを強いる機械なのだ。

 そんな、「改めて話す」ということを、日常的にやってるうちに、なんとなく人前で話すことも、慣れてきたのじゃないかと、さっき、ふと思った。
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by asano_kazuya | 2006-01-13 19:14 | 身辺雑記