夏目漱石とか山本七平とかカフカとか宣伝とか

a0016446_219181.jpg古典を読むと、その後、その古典にまつわる諸説も楽しめる。

この前、「ふいんき語り」関係で漱石の「こころ」を読んだ。「こころ」についての論説は数多く、橋本治は、「『こころ』はホモ小説」という見方をしてるし、「ふいんき」の共著の米光さんから教えてもらって、石原千秋という人の漱石論も楽しんだ。

たまたま、先日、「山本七平の日本の歴史」という本を本屋で見つけて買ってみたところ、この中にも漱石の「こころ」論が載っていた。


面倒くさいので、くわしくは書かないが、山本七平という人は、「日本人とユダヤ人」というべらぼうに面白い本を書いた人である。毀誉褒貶あるが、おもしろいのはまちがいないので、読んだことない人がいればお勧めする。ただし、著者名は山本ではなく、「イダヤ・ベンダサン」というペンネームになっている。

さて、「山本七平の日本の歴史」である。これによると、「こころ」は天皇制の話であり、日本の社会を色濃く反映している小説らしい。「お嬢さん」は、「去私の人」であり、理念としての理想的天皇像であると。で、「先生」は北条泰時、「K」は後醍醐天皇になるそうだ。なんでそうなるかを書きたいところだが、麻野の筆力では書ききれない。興味を持った方は、本書を読んでください。

また、山本氏は、こんなことも書いている。

――「お嬢さん」否「奥さん」否「未亡人」は、「先生」の墓をどこに建てたであろう。それは「K」の墓の隣以外にない。

そうだ。確かにそうだろう。しかし、これって、「こころ」読んだ人ならわかると思うけど、相当ホラーだ。「うげげげげげー!」って感じの話だ。そこまで想像が働くってこと自体が、すごい!

この本は、他にも、「下克上」というコトバの本当の意味とか、新井白石が「天皇制は足利尊氏が作った」と主張していたこととか、驚きの連続だった。残念なのは、古文の引用が多く、浅学な麻野には、読めない箇所が多々あったことだ。もっと勉強せねば。

まだ上巻しか読んでないので、下巻を買いに今日、本屋にいった。しかし、置いてない。やはり山本氏の、「日本人とアメリカ人」とか、「イスラムについて」など、おもしろそうな本はあったが、あまりつまみぐいするのは、もったいない。しょうがないので、とりあえず高校生向けの古文の参考書を買ってきた。ヒマみつけて、古文にトライすることとする。

山本七平もすごいが、「こころ」一冊読んでおけば、その周りを衛星のように回る「こころ論」もたのしめる。古典おそるべし、だ。

そうそう。山本七平は、「漱石は名前がきらいだから、Kとか先生とか、あだ名みたいなのばかりだ。「我輩は猫である」の猫にすら、名前がない」と書き、「同様の傾向にあるカフカと比べるのも興味深い」といっていた。

カフカも、つい先日、「変身」のゲーム化をやったばかりだったので、なんとなくシンクロニシティー感じて、ドキッとした。ちなみに、「変身」のゲーム化は、今発売中のダ・ヴィンチに掲載してるので、読んでみてください。
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by asano_kazuya | 2006-03-16 21:07 |