映画の授業にて

このブログのとっぱしでも少し触れましたが、麻野は今、週に一度早稲田に通ってます。社会人学習の一環(だと思うんですが、よくわからんです)として、「映画の作られ方」を学ぶ教室に通っているのです。なんでこんなものに通いだしたかというと、ゲーム業界の知人から誘われて、「授業のあと、メシでも食おうよ」ということで、ひとつは勉強目的、もうひとつはいわゆる単なる酒のネタなわけです。

講師は角谷優さんという、「南極物語」や「子猫物語」、最近では「梟の城」などのプロデューサーをやってこられてきた方。今までの授業では、邦画洋画の観客動員数がどんな推移を見せてきたか、また、予算のどれくらいの割合が制作費になっているかなど、なんというか「冷たい数字」を客観的に示されて、非常に興味深いものでした。

麻野は、いちおうゲーム業界というエンタテイメント産業に所属するのですが、この業界、億単位の金が動き、多数の人間が関与します。そういう意味で、音楽業界や出版業界よりは、映画業界に構造が近く、いろいろ参考になりました。この授業で知ったのですが、映画って、儲かった金は、まずは劇場が取っていくんですね。製作現場に回ってくるのは最後の最後らしい。

昨日の授業では、荒井晴彦さんという「Wの悲劇」、「KT」、最近では「ヴァイブレータ」という作品の脚本を書かれた方がゲスト講師として招かれてました。最初に「ヴァイブレータ」の脚本の抜粋が配られて、これが現場で監督や役者によってどんな映像になったかをビデオで見せてもらうという授業でした。この「ヴァイブレータ」、去年のキネマ旬報のベスト3で、ヨーロッパの映画の賞もとってる名作だそうです。

で、ですね。なんで、こんなことをここに書いたかというとですね。たまたまなんですが、授業の最中に「世界の中心で愛を叫ぶ」のことが、講師の角谷さん、荒井さんの口から語られたわけですよ。ちらっとですが。で、まあ、いわゆる50才台以上のベテランの映画関係者が、あの映画をどのように感じておられるのかという本音が垣間見えたので、ちょっとかいておこうかなと。すんません。前書き長くて。

まあ、「語った」といっても短い言葉で吐き捨てるようにおっしゃるだけでしたが……えーと、そのまま書きます。「なんであんな映画がヒットするのか?」「世も末だ」「原作読んだけど、1,2ページでやめた。あんなもの文学じゃない」。

とにかく、ダメだ、と。

ここで、麻野は前から気になっている疑問が生じたわけです。いわゆる業界の通の人(プロアマ問わず)が「いい作品」というものと、世間でヒットするものとで、なんでこんなに落差が生じるんだろうかと。これって、映画だけでなくゲームでもありえるんですが、いわゆる「もののわかった人間」が評価するものは、えてして売れない。「なんであんなつまんないゲームが?」というものがけっこう数字を伸ばしたりする。

おもしろいのは、ゲームだと自分が渦中にいるからよくわからなくなるんですが、映画だと、しょせん自分は素人なので、一般人の目になるわけです。映画の通の人がなんといっても、「こりゃ売れんだろうなあ」というのは、麻野から見てもよくわかるわけです。いくら「低俗」とか、「あざとい」とか、「○○のパクリ」とかいわれても、ヒットするものは、やっぱりおもしろそうなんです。実際におもしろいかどうかはともかく、少なくとも観にいきたくなる。そんな何かを持っている。「2000円近い金出して2時間費やすんだから、つまらんよりはおもしろい方がいい。しょせん娯楽だし」とか、製作者の気持ちも知らずに、素直に残酷に無責任に思うわけです。

と、ここまで考えて、「うーん。ゲーム作るときも、この感覚忘れると、邦画業界みたいになるなあ、くわばらくわばら」と、授業の内容そのものより、そういう意味で非常に勉強になったりするわけでした。

ちなみに、「ヴァイブレータ」という映画。冒頭と途中とエンディングを「ツマミ観」させてもらいましたが、私には○○でした。(お金払ってみてないので、詳細は割愛させてもらいます。劇場でちゃんとお金払って見たら、また書きます。)
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by asano_kazuya | 2004-05-26 23:49 | 身辺雑記