カテゴリ:本( 53 )

以前、細野真宏の『「未納が増えると年金が破綻する」って誰が言った? ~世界一わかりやすい経済の本~』をレビューしたことがある。

詳細は、レビューや元の本を読んでもらいたいが、はしょって説明すると、「未納が増えているのは国民年金だけで、それは日本の年金制度の一部分だから問題ない」という主張だ。極端なたとえでいうと、日本でヤギのミルクの消費量が半分に減ったとしても、日本人の食生活にほとんど影響はない、というような話だ。・・・ああ、よけいわかりずらいか。

このレビューを書いたとき、麻野は自分なりに年金の勉強をして、この本をかなり信用した。この著者の他の本も読んで、著者自身にも信頼を置いていた。

ところが最近、このような記事があった。
「どう計算しても年金は2032年に破綻する。財政検証のゴマカシを剥いだ真実の姿」

ここで野口悠紀雄が言っているのはこうだ。

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・2040年に、受給者は2割増え、納付者は2割へる。
・現在の「マクロ経済スライド」制度や保険料率の増加では、対応がおいつかない。
・しかも、「マクロ経済スライド」制度自体が発動してない。

なのに、問題がないとされているのは、おかしい。これには、以下のごまかしがある。

・賃金上昇率が2.5%という高い設定。ありえない。
・積立金の運用利回りが4.1%という設定。これもありえない。

そのごまかしを是正し、「賃金上昇率=0」、「運用利回り=1.4%」で
検証すると、「厚生年金は2032年に破綻する、ガガーン!」
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経済のことなど麻野にはさっぱりわからんが、野口悠紀雄はなんとなく雰囲気で信用している。細野も野口もどちらも信用をしているのだが、その二人がまったく違うことをいっている。困った。

と思っていると、細野真宏が、またこんな本を出していた。

『細野真宏の最新の経済と政治のニュースが世界一わかる本!』

本屋で手に取ると、また年金のことを語ってる。即、買った。というのが、やっぱり、レビュー買いた手前、まちがってたとなると、夢見がわるいのだ。間違ってたなら間違ってたで、せめて明らかにして、「反省してまーす」(もう古いな)くらいは言いたいと思って。

で、野口説と細野説をつきあわせてよんでみて、麻野の考えを織り交ぜながら、色々書く。ちなみに、両者が出しているデータそのものは頭からうのみにしている。検証、面倒だから。また、年金は、「国民年金」、「厚生年金」、「共済年金」があり、両者がどれをさしているのかで、数値が変わることがある。たとえば、積立残金が野口氏は140兆あるといい、細野氏は200兆といっている。これはおそらく、細野氏は3つの合計で野口氏は厚生年金だけをいってるんじゃないかと推測するが、麻野は推測だけで確認しない。面倒だから。

もう一度、野口氏のあげる問題を書く。

1:2040年に、受給者は2割増え、納付者は2割へる。
2:現在の「マクロ経済スライド」制度や保険料率の増加では、対応がおいつかない。
3:しかも、「マクロ経済スライド」制度自体が発動してない。
4:賃金上昇率が2.5%という高い設定。ありえない。
5:積立金の運用利回りが4.1%という設定。これもありえない。

まず1。これに関しては、現在の年金制度はそれを想定して計算しているので、そのこと自体は問題にしても仕方がない。野口氏は、「これでもまだ甘い。今後、正社員が減って、ますます払う人がへるかも」と言っているが、払わなかったらもらえないので、長い目で見た場合は関係ない。

次に、2,3だが、これは数字上の問題なので、変えればいいだけのことである。
年金制度の根幹には関わらない。

麻野が問題視したいのは、4,5である。
このうち、5については、細野の新著でかなり細かく説明がある。(P100~P111)

 名目運用利回り(4.1%)
=物価上昇率(1.0%)+実質運用利回り(3.1%)
=物価上昇率(1.0%)+将来の実質長期金利(2.7%)+分散投資効果(0.4%)

実質長期金利(2.7%)というのは、「10年物の日本国債」の実質利回り。
分散投資効果(0.4%)というのは、株式投資など。

もっとはしょると、「今後、物価が年に1%ずつあがって、国債の利回りが2.7%で、株で0.4%はふやせる」ということである。

で、そんなことができるのかという根拠に、細野氏は過去20年ほどのデータ(1986年以降)を挙げてくる。それを見ると、確かに、国債の利回りが4%超えている時代もある。全体としての実質運用利回りが、5%を超えている時期もある。

しかし、これは麻野には微妙に思える。数字がいいのは、やはりだいたいにおいて景気のよかったときのものだ。今後そうなるかどうかは不透明すぎる。たとえば、1997年以降の国債の利回りは、ずっと、ほぼ2%かそれ以下だ。

しかも、物価上昇率が1%というのも、よくわからない。まあ、これはスライドをきちんと発動すれば関係ないのかもしれないが。(いかん、もしかしたらトンチンカンなこと言ってるかもしれない。この発言、なかったことに)

細野氏は、「年金は長期的な視野で見るべきものなので、この数年の経済の傾向だけで判断すべきではない」という内容のことを言っている。これは確かにそうなのだが、いささか不安になるのは否めない。

そして最後に残った「4:賃金上昇率が2.5%という高い設定」だが、これについてはこの本には言及はなかった。今後、なんらかのリアクションがないか、動向を見守りたい。

しかし、考えたらすごい話だ。賃金が毎年2.5%あがって、物価は1%しかあがらない未来って、かなりバラ色じゃないか? 毎年、1.5%ずつ豊かになれる。

それはさておき、野口氏の記事はタイトルは扇情的だが、結論は割とおだやかである。

対応いかんによっては、厚生年金を破綻させることなく運営することは不可能ではない(逆に言えば、そうした対応を取ることが、いま求められることである)。」と述べている。


「オオカミが来るぞ-。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いつか」みたいな話だ。

細野氏によると、5年に一度、各数字が妥当かどうか、検討して調整することが決められているとある。つまり、問題は、そのときに数字が見直されるかどうかだけのことで、年金制度の根幹はゆるがないのだ。



ちなみに、細野氏の新著は、

「年金不信が将来不安を招く」→「みんな、金をつかわなくなる」→「不景気が続く」。
「これではいけない! 年金に対する不安をなくしたい!」

という動機の元に書かれたものだ。そういう意味では、野口氏の記事は、必要以上に景気に冷や水をあびせる記事だと思った。おしまい。

<おまけ>
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by asano_kazuya | 2010-06-11 16:17 |
三橋貴明の「ジパング再来」という本を読んでたら、こんな記述があった。

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2009年2月3日G7において中川昭一前財務金融相は、IMFの融資財源強化を目的とした最大1000億ドルの融資取り決めに署名。
IMFの代表者、ストロスカーン専務理事は「人類史上最大の融資である」と絶賛。
日本にとって、リスクゼロであるに関わらず、世界中の国々から最大限に感謝される。
正直、筆者はこれを上回る解決策を思いつくことはできない。誰が考えたのか知らないが、まさしく「天才の発想」だとおもう。

マスメディアはそれを完璧に無視した。挙げ句の果てに中川氏の朦朧会見を、明らかな悪意に基づき繰り返し報道し、最終的に辞任に追い込んだのである。
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へえ、と思ってたら、さっき死去されたことを知った。冥福をお祈りします。

とともに、ものすごく気の毒になった。
なんで、功罪の罪しか、マスコミは報じないのか。ひどすぎる。

もちろん、この本に書いてることが正しいかどうか、ワシにはわからんのだが。
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by asano_kazuya | 2009-10-04 14:42 |
a0016446_1811691.jpg香港の空港で、中国人向け(台湾人向け)の日本語会話の本を見つけた。
「これを読めば日本語がペラペラになる」と序文にあるが、あまりの怪しい日本語に笑いが止まらず、思わず購入してしまった。

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第一章 友だちになる。

A:あなたのことをなんとお呼びすればいいですか?
B:ミッキーと呼んでください。
A:ミッキーマウスですか?
B:ユーモアがありますね。
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文法的にはまちがってないが、かなり不自然な会話だ。
ミッキーという日本人は、まずいない。 それとも台湾人には多いのだろうか。
どっちにしろ、ミッキーと名乗る人に、「ミッキーマウスですか?」とたずねることもなければ、それにたいして、「ユーモアがある」と答えることも、日本では、考えにくい。

会話は続く。
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by asano_kazuya | 2009-06-24 18:07 |
a0016446_11515555.jpg 日々、仕事に追われていると、なんのために生きてるのかわからなくなることがあります。大学の存在意義もそれに似ているのかもしれないと、この本を読んで思いました。

 個々の学問や技術が発展するのは、大学でなくても、企業や研究所でも可能です。となると、大学が大学であるための根本意義は、どこにあるのか。

 よく、万能細胞やDNA、脳死問題などを、どこまで許容するか、線引きをどこで行うかという問いかけが新聞などにのります。その問いかけに答える、あるいは答えないまでも議論の先頭に立つ。これこそが大学のおかれた立場なのかもしれない。そんな、大学のありように関するレビューです。
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by asano_kazuya | 2008-06-25 11:51 |
a0016446_21162744.jpgレビュです。

こういった未来を描いた本というのは、個人的には大好きなんですが、他の人はどうなんだろう。

あまり気にならないのかな。
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by asano_kazuya | 2008-06-19 21:15 |
a0016446_21113465.jpgレビューです。

この本を読んで、何かを調べるという行為のためには、ある程度対象と距離を置く必要があるなということでした。

あまりに没入しすぎると性急な結論を求めがちです。いわゆる大人な態度というヤツでしょうか。
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by asano_kazuya | 2008-06-19 21:13 |
a0016446_21101049.jpg松岡正剛さんは、学生の頃から尊敬してました。工作舎はあこがれの的でした。

今回、松岡さんの本のレビューができて、相当うれしく思っています。
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by asano_kazuya | 2008-06-19 21:10 |
a0016446_2161369.jpg今回は教育関係です。

日本には、消費者教育が必要だということを強く主張した本です。
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by asano_kazuya | 2008-06-19 21:06 |
a0016446_18184429.jpg自分は、昼飯に1000円出したら、高い方。1500円出したらバチがあたるんじゃないかと思うようなタイプ。

そんな人間にはそもそも読む資格がない本かもしれない。でも、レビュー書きました。読んでみてください。
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by asano_kazuya | 2008-01-18 18:13 |
a0016446_18165124.jpgレビュー書きました。
今回は、健康がテーマの本です。よろしかったら読んでください。
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by asano_kazuya | 2007-12-12 18:01 |